金鑚神社(神川町)本殿を設けない古代の形|多宝塔は国の重要文化財

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金鑚神社(かなさなじんじゃ。文化庁の指定名称では「金鑽神社」とも表記されます)は、神川町二ノ宮に鎮座する古社です。武蔵国二宮(『神道集』では五宮)、延喜式神名帳の名神大社、戦後は神社本庁の別表神社という格の高い神社です。

御祭神は天照大神・素戔嗚尊、配祀神は日本武尊。景行天皇41年(111)に日本武尊が東国遠征の折、倭姫命より授けられた火鑽金(火打金)を御霊代として山中に納めたことを起源とする創建伝承があります。

社名の由来について、公式サイトは「古くは『金佐奈』と記載され、砂鉄を意味する『金砂(かなすな)』が語源とも、また産出する砂鉄が昆虫のサナギのような塊だったため『金サナギ』が語源とも考えられている」と記しています。

本殿がありません——これが最大の特徴です

この神社の最も珍しい点は、本殿を設けていないことです。

公式サイトはこう説明しています。「主要社殿は拝殿・中門からなり、中門の背後には一般の神社に見られる本殿がなく、神体山とする御室山(御室ヶ獄)を直接拝するという形式を採っている。旧官幣社・国幣社でこのように本殿を設けない古例を採るのは、他に長野県の諏訪大社・奈良県の大神神社のみである。」

つまり全国で3社だけという形式です。「拝殿後背、標高300メートルほどの御室山【御室ヶ嶽(みむろがたけ)】を神体山として祀る。拝殿だけで本殿は無く、古代の神奈備山の祭祀を現代に伝える」と公式は記しています。

社殿建築を見に行く神社ではなく、山そのものを拝むという古い形を体験に行く神社だと考えると、見方が変わります。

多宝塔は国の重要文化財

境内の多宝塔は国の重要文化財です。文化庁のデータベースでは「金鑽神社多宝塔」として登録されており、指定は明治45年(1912年)2月8日、室町後期・天文3年(1534年)の建立、「三間多宝塔、こけら葺」とあります。

神川町の文化財担当の説明が最も詳しいので引用します。「塔全体の高さが13.8メートル、相輪の高さが4メートルあります。屋根は二重になっており、こけら葺きという方法で葺かれています。多宝塔は、心柱の墨書から、天文3年(1534)に武蔵七党で名高い丹党の豪族安保弾正全隆が、子孫の繁栄を祈って建立したことがわかります。平成20年度に屋根葺き替えと相輪の補修を行いました。」

塔の真柱正面には「天文三甲午八月晦日、大檀那阿保弾正全隆」などの墨書が残り、建立年代がはっきりしている県内有数の木造建築物です。

なお高さについては資料によって13.8m(+相輪4m)、約18m、約14mと記述が分かれています。断定は避けたほうがよい数字です。

鏡岩は国の特別天然記念物

神社から御嶽山を登った中腹に鏡岩があります。国指定特別天然記念物(昭和31年7月19日指定)です。

神川町の説明では「約1億年前に関東平野と山地の境にある八王子構造線ができた時の岩断層活動のすべり面で、摩擦によって表面が鏡のように磨かれています。岩質は赤鉄石英片岩で、岩面の大きさや、断層の方向がわかっていることから地質学的に貴重な露頭となっています」とあります。

神社公式は「幅5メートル 高さ9メートル」「およそ9000万年前」と、少し異なる数字を挙げています。

面白いのは伝説です。「上州の高崎城が落城した際には火災の炎が岩面に映った」「御嶽山は山城のため、月明りが反射して敵の標的とならないよう松明でいぶして赤褐色にした」——鏡のように光る岩が、戦国時代には隠さなければならない存在だったというわけです。

御嶽山のハイキングコース

神川町観光協会が「金鑚・御嶽山コース」を案内しています。

  • 6.5km、徒歩2時間、「歴史と文化に触れる森のコース」
  • ルート:新宿公園 → 金鑚神社・大師 → 鏡岩 → 石仏群・見晴台・弁慶岩(⇒御嶽城跡) → 金鑚清流公園 → 金鑚神社・大師 → 新宿公園

山頂近くには奥宮が鎮座し、付近には護摩壇の跡が残ります。江戸時代に巡礼された百体の石仏群も周辺にあります。

御嶽城は南北朝時代に長井実永が築城し、文明12年(1480年)に安保吉兼が再築城したもの。現在も遺構が残っています。

通行止めの告知は神社公式・神川町・観光協会のいずれにも見当たりませんでしたが、山道ですので足元の装備は整えて向かってください。

ご祈願・御朱印

  • ご祈願・お守り・お札等の窓口での授与時間:9:00〜16:00(30分毎)
  • 御祈願は40席程度の座席を設け、社殿で行われます
  • 申し込みは社務所、またはウェブからの予約も可能(予約受付は二日前まで)
  • 初穂料:5,000円または10,000円
  • 御朱印:公式が「朱印につきましては、紙に押印したものとなりますので、ご容赦ください」と明記しています(御朱印帳への直書きは不可)。初穂料は公式に記載がありません
  • 御朱印帳あり。表紙は神体山と龍神。キンメイ池から金色の龍が飛び立ち、九郷用水・女堀川になったという龍神伝説に由来します

なお境内で活動できる商業目的のカメラマンが限定されています(三脚や脚立による転倒事故、参拝者の行動制限といった問題が生じたため)。家族写真は従来どおり楽しめます。

正月——1月3日は国道462号が通行止めになります

令和8年(2026年)1月の実績です。令和9年分は未発表なので年末に公式でご確認ください。

  • 1月1日:8:30〜17:00(15〜20分間隔)
  • 1月2日:9:00〜16:00(15〜20分間隔)
  • 1月3日:6:00〜16:00(15〜20分間隔)
  • 1月4日以降:9:00〜16:00(30分毎)
  • 12月30日まで:9:00〜16:00(30分毎)
  • 初穂料:3,000円(1/1〜1/7の正月特別祈祷のみ)/5,000円/10,000円。1月8日以降は通常どおり5,000円から
  • 交通規制:1月3日 神社前の国道462号は通行止め(8:30〜17:00)
  • 1月3日の露店は境内入口付近や国道上に出店されます
  • 車のお祓いを伴う交通安全祈願は、年内は30日まで、新年は2月から
  • 初宮参のご祈願は大晦日〜1月15日は休止

1月3日は6時から受付が始まり、国道が通行止めになるという特別な日です。神川町観光協会も「金鑚神社及び大光普照寺(金鑚大師)には、初詣やだるま市に大勢の参拝客が訪れます」と案内しています。

年中行事

  • 水口祭:5月の辰の日。「九郷阿保領用水・神流川用水 水口祭」午前10時より(日付は年により変動)
  • 新嘗祭:11月23日 午前11時より/火鑚祭:11月23日 夕方6時より
  • 元森神社秋尽祭:10月19日。御室山を褒める「山ほめ神事」
  • 埼玉県神社庁が記載するお祭り:4月15日

なお末社蚕影山神社祭は休止中です。かつては春蚕の飼育が始まる前の4月17日に祭典が行われていましたが、養蚕業の衰退と参拝者の減少により休止されました。埼玉の養蚕の歴史がそのまま祭の消滅として残っている例です。

本庄市の「金鑚神社」とは別の神社です

混同されやすいので整理しておきます。

  • 金鑚神社(神川町二ノ宮751):武蔵国二宮、式内名神大社、別表神社。本殿なし。多宝塔が国重文、鏡岩が国特別天然記念物。電話 0495-77-4537
  • 金鑚神社(本庄市千代田3-2-3):児玉党の氏神、本庄城主歴代の崇敬。本殿・幣殿・拝殿を備えた権現造り。例大祭は11月2・3日の「本庄まつり」。楠木が県指定天然記念物。電話 0495-22-3267

同じ日に寄れる近くのスポット

  • 大光普照寺(金鑚大師):すぐ近く。正月のだるま市
  • 金鑚清流公園:ハイキングコースの途中
  • 城峯公園(神川町矢納):冬桜と紅葉が同時に見られる公園
  • 神川ヒルズ・神川町の梨園:秋の梨狩り
  • 金鑚神社(本庄市)・旧本庄商業銀行煉瓦倉庫:本庄まつりの時期なら

所在地・お問い合わせ

  • 所在地:埼玉県児玉郡神川町二ノ宮751
  • 電話:0495-77-4537
  • 公式サイト:https://www.kanasana.jp/
  • アクセス:JR高崎線「本庄駅」南口から丹荘駅入口経由鬼石行バス「新宿」下車 徒歩約20分
  • 車:関越自動車道「本庄児玉」ICより国道462号で約30分。駐車場あり(台数・料金は未公表)
  • ご祈願・授与の受付:9:00〜16:00(30分毎)。ウェブ予約可(二日前まで)

※境内の開門・閉門時間、拝観料、御朱印の初穂料は公式に記載がありません。正月の情報は令和8年1月の実績です。令和9年分は年末に公式サイトでご確認ください。

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