氷川女體神社(ひかわにょたいじんじゃ)は、さいたま市緑区宮本に鎮座する武蔵国有数の古社です。見沼の谷に突き出した小舌状台地の上という独特の立地で、社殿から見沼の方向を見下ろす形になっています。
寛文7年(1667)の社殿は、徳川幕府四代将軍家綱が忍城主・阿部忠秋に命じて建立させたものと伝わります。
社殿は県指定有形文化財(外観のみ公開)
社殿は埼玉県指定有形文化財(建造物)/平成19年3月16日指定です。本殿は寛文7年(1667)、拝殿は江戸時代中頃のもの。
さいたま市が明記している注意点があります。「外観のみの公開です。建物の内部は見学できません。」内部を期待して行くと空振りになります。
拝殿には「武蔵国一宮」の扁額が掲げられています。
「埼玉の正倉院」——ただし文化財は通常非公開です
氷川女體神社は「埼玉の正倉院」とも呼ばれます。さいたま市の観光公式も「一般公開はしていませんが、所蔵する文化財が多いことで知られ」「『埼玉の正倉院』とも呼ばれています」と記しています。
ここで押さえておきたいのは、文化財は通常非公開であることと、一部は神社の外に寄託されていることです。
- 三鱗文兵庫鎖太刀 1口:埼玉県指定有形文化財(工芸品、昭和47年3月28日)。所有者は氷川女體神社。「常時公開されていません。見学希望は所有者・管理者の許可を受けて下さい」
- 牡丹文瓶子 2口:昭和48年3月9日指定。現所在地は東京国立博物館(寄託)。神社にはありません
- 紙本墨書大般若波羅蜜多経 539巻:さいたま市立浦和博物館に寄託
- 氷川女体神社神輿、古社宝類、社領寄進状及び朱印状12通、神明宮扁額
- 氷川女體神社社叢:天然記念物(昭和40年7月1日指定)
- 氷川女體神社の名越祓え:無形民俗文化財(昭和60年3月28日指定)
社叢にはクス、モチ、シラカシなどの暖地性植物が繁茂しており、天然記念物に指定されています。見沼という湿地に面した台地の森という、埼玉では珍しい植生です。
磐船祭祭祀遺跡(市指定史跡)
この神社でもっとも歴史の重みを感じられるのが、磐船祭祭祀遺跡(いわふねさいしいせき)です。さいたま市指定史跡(昭和54年3月29日指定)、所在地は緑区大字見沼5317。
経緯はこうです。もともと見沼で船に神輿を乗せて渡す「御船祭」が行われていましたが、享保12年(1727)の見沼干拓によって沼が田になり、船を出すことができなくなりました。
そこで柄鏡形(えかがみがた)の土壇と池を築造し、享保14年(1729)に「磐船祭」と改称して祭りを続けました。この祭は江戸時代を通じて斎行され、江戸時代末期に廃止されています。
つまり「磐船祭」は現在行われていません。現行の祭は「祇園磐船龍神祭」(5月4日)で、名前は受け継いでいますが別の形です。
遺跡については立入禁止の記載はなく、「マナーを守り…迷惑とならないように」という注意書きのみです。干拓で沼が失われた土地に、祭りの形を変えるために作られた土壇が残っている——これは見沼の歴史を考えるうえで非常に重要な場所です。
見沼をめぐる三社の関係
武蔵国一宮をめぐる話は、少し整理して理解する必要があります。
さいたま市の観光公式は、氷川女體神社を「(武蔵国の)一宮を構成する三社の一つと考えられ、他は大宮氷川神社と中山神社」と記しています。
ただし3社すべてが一宮を名乗っているわけではありません。
- 武蔵一宮氷川神社(大宮区高鼻町):社名そのものが「武蔵一宮」
- 氷川女體神社(緑区宮本):拝殿に「武蔵国一宮」の扁額。社蔵文書に「武州一宮女躰宮御由緒書」
- 中山神社(見沼区中川):別称は中氷川神社。明治40年に中氷川神社から中山神社へ改称。この社は「一宮」を称していません
中山神社は「氷川神社と氷川女体神社の直線上にあり、広大な見沼を挟んでちょうど中間に位置する」とされ、「三社で一体の氷川神社を形成し、見沼を神池『御沼』として広大な神域を有していた、とする説がある」と説明されます。
さらに氷川女體神社側には「太陽は夏至に西北西の氷川神社に沈み、冬至には東南東の氷川女體神社から昇る」という記述もあります。見沼を中心に、太陽の軌道と3社が結びつけられているわけです。
この3社は一般に「氷川三社」と呼ばれます。3社を1日で巡ると、見沼という失われた湿地のスケールが体感できます。
年中行事
- 1月1日 歳旦祭
- 2月18日 祈年祭
- 5月4日 祇園磐船龍神祭
- 7月31日 名越の大祓(市指定無形民俗文化財「名越祓え」)
- 10月8日 例大祭
- 11月23日 新嘗祭
- 12月25日 かま〆頒布
参拝については、さいたま市の観光公式が「ご神前(外)での参拝は24時間可能」「祈祷斎行時間は要予約」と案内しています。境内参拝は無料です。
同じ日に寄れる近くのスポット
見沼という土地を軸に組み立てるのが、この神社の正しい楽しみ方です。
- 見沼代用水東縁・見沼田圃:神社のすぐ下。干拓された見沼の跡。サイクリングロードが整備されています
- 武蔵一宮氷川神社(大宮区)・中山神社(見沼区):氷川三社を揃えるなら
- さいたま市立浦和博物館:氷川女體神社の大般若経が寄託されています
- さぎ山記念公園・見沼自然公園:見沼の自然を知る公園
- 調神社(浦和区岸町):兎を神使とする珍しい神社。「扇面三十六歌仙絵」はこちらの文化財です
所在地・お問い合わせ
- 所在地:埼玉県さいたま市緑区宮本2-17-1
- 電話:048-874-6054
- アクセス:JR武蔵野線「東浦和駅」からバス「朝日坂上」下車 徒歩約10分
- 車:首都高速埼玉大宮線「与野」JCTより約20分。駐車場あり(台数は未公表)
- 拝観料:無料。社殿は外観のみの公開(内部は見学できません)
- 参拝:ご神前(外)での参拝は24時間可能。祈祷は要予約
※社務所の受付時間、御朱印の料金・受付時間、駐車場の台数、初詣の情報については公表されている資料がありません。事前にお問い合わせください。
氷川女体神社の情報
こちらは氷川女体神社の基本情報です。実際の情報と異なる可能性がありますので、詳しくは公式サイトなどでご確認ください。
| 名称 | 氷川女体神社 |
| 読み方 | ひかわにょたいじんじゃ |
| 所在地 | 埼玉県さいたま市緑区宮本2-17-1 |
| 電話番号 | 048-874-6054 |
| 営業時間 | 9:00〜16:00
※祈祷は要予約
※ご神前での参拝は常時開放しています
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| 定休日 | なし |
| アクセス | 電車・最寄駅 JR「東浦和駅」下車 バスにて「朝日坂上」バス停より徒歩約10分 車でのアクセス 首都高速埼玉大宮線「与野」JCTより約20分 048-874-6054 |
| 駐車場 | 公式 | 氷川女体神社のオフィシャル(公式)サイト |
| バリアフリー | |
| 備考 | 【訂正1】旧記事の「三十六歌仙絵額」は、氷川女體神社の文化財として確認できませんでした。さいたま市の指定・登録文化財一覧を全件検索したところ、「三十六歌仙」でヒットするのは調神社(浦和区岸町)の「扇面三十六歌仙絵 18面」のみです。他社の文化財との混同と思われるため削除しました。/【訂正2】「牡丹文瓶子」は県指定文化財ですが、現所在地は東京国立博物館(寄託)です。神社が所蔵・社宝として書くのは不正確です。/【訂正3】「磐船祭」を現行行事として書くのは誤りです。享保14年(1729)に改称して江戸時代を通じ斎行されましたが、江戸時代末期に廃止されました。現行は「祇園磐船龍神祭」(5月4日)。/【訂正4】「武蔵国一宮を名乗る3社」という言い方は不正確です。大宮の氷川神社と氷川女體神社が一宮を称し、中山神社は称していません。「三社一体で武蔵国一宮を構成したという説がある」が正確です。また「見沼三社」という呼称は公的ソースで確認できませんでした(一般には「氷川三社」)。/社殿は県指定有形文化財(平成19年3月16日指定)。本殿は寛文7年(1667)、拝殿は江戸時代中頃。「外観のみの公開です。建物の内部は見学できません」とさいたま市が明記。/「ふるさとの森」指定は県の公式指定資料が確認できませんでした。確実なのは「社叢が県指定天然記念物(昭和40年7月1日)」のみ。/公式サイトは存在しません。/社務所の受付時間、御朱印の料金・受付時間、駐車場の台数は不明。初詣の情報も公表資料がありません。要電話確認(048-874-6054)。 |


